日本の文化・芸術を象徴する帝国劇場
「帝劇」の通称で知られる帝国劇場は、東京・丸の内、日比谷通りに面して位置し、日本初の本格的西洋式劇場として1911(明治44)年に開場されました。 開場当時さまざまな分野に影響していた欧化主義のひとつ、演劇改良運動があり、発起人の中心として渋沢栄一も名を連ねています。帝国劇場は、横河民輔により設計され、全階椅子席、ロビーや食堂、喫茶室も備えており、ルネサンス風のフランス様式を模した造りで、江戸時代からの「歌舞伎小屋」イメージを一新しています。歌舞伎の上演の他、翻訳劇や創作劇も並行して行い、女優の養成を目的に帝国劇場付属技芸学校設立もしています。国際的な上演も積極的に行い、シェークスピアをはじめとする外国劇とオペラ、イタリア人音楽家ローシーを招いてのオペラ・バレエの上演を上演するなどで流行し「今日は帝劇、明日は三越」という当時の広告キャッチコピーが示す通り、消費時代の幕開けを告げるものでした。
これまでの帝国劇場
しかし、帝国劇場は1923(大正12)年、悲運にも外郭を残して焼け落ちてしまいました。それは関東大震災の影響によるもので、帝国劇場は耐震性が高かった事で激しい揺れにも倒壊を免れる事が出来ましたが、数時間後に警視庁方面から出た火災の被害を受けたのです。それでも帝国劇場は、震災の翌年に再開され、「大正帝劇」として再び賑わいを見せましたが、太平洋戦争中の閉鎖や不況による経営難などもあり、さらに都市高層化の波で1964(昭和39)年取り壊されています。その後、帝国劇場は、複合ビルの一部の劇場として1966(昭和41)年に生まれ変わり、開場記念公演の『風と共に去りぬ』は好評を受け、6カ月のロングランヒットを記録しました。その後も現在まで帝国劇場は、ミュージカルや大型娯楽劇を柱に日本の文化・芸術の中心的劇場となり「日本ミュージカルの聖地」とも呼ばれています。上演内容として、ミュージカルの公演にも力を入れ、『王様と私』『屋根の上のヴァイオリン弾き』『ラ・マンチャの男』『マイ・フェア・レディ』などのブロードウェーの名作ミュージカルの上演を続け、『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』などのハイテク技術を駆使した大型ミュージカルも話題となりました。
築34年を迎えた2000(平成12)年、帝国劇場は各設備の老朽化が進んでいた事から、建物の配管の赤錆腐食防止と、配管の延命目的でNMRパイプテクター®を設置しました。
赤錆を黒錆に変え強化するNMRパイプテクター®-NMRPT-
配管は使用されていくうちに、その内部に赤錆が発生し、配管を劣化させます。そのまま赤錆腐食が進むと、鉄をボロボロにしていく性質を持ち、赤水や赤錆閉塞、漏水といったさまざまな配管の問題を発生させます。この配管内の赤錆問題は、配管内赤錆防止装置NMRパイプテクター®によって解決が可能です。 その優れた防錆効果によって、NMRパイプテクター®は多くのお客様に選ばれていますが、どのように配管の劣化問題を解決しているのか、その仕組みを紹介していきます。NMRパイプテクター®は、水の自由電子(水和電子)を利用して、配管内の赤錆を黒錆に還元することができるのです。 では、さらに詳しく説明していきます。
優れた防錆効果をもたらす黒錆とは
黒錆は赤錆と異なり水に溶け出さず、体積が赤錆の1/10以下という固い結晶の不動態となります。赤錆が黒錆に変化する事で鉄の表面に皮膜が形成され、鉄を赤錆腐食から守り強化させます。つまり、配管内の赤錆減少によって赤水が止まり、赤錆より体積が小さい黒錆への変化によって赤錆閉塞を改善します。 黒錆は南部鉄瓶や中華鍋など鉄のコーティングとして利用され、何百年間も前から神社や寺の釘や蝶番にも使用され、赤錆から鉄を守ってきたものです。
配管内の赤錆を取り除く技術は他にもありますが、従来の主な赤錆除去方法の配管洗浄では、赤錆を除去する際に配管自体が傷つき劣化するリスクがあります。赤錆をより体積の小さな黒錆に変化させるNMRパイプテクター®は、「配管を傷つけることなく」「配管自体を強化しながら」赤錆問題を改善する唯一の技術です。
大きな特徴として、長期にわたる防錆効果の持続性があります。NMRパイプテクター®の赤錆防止・更生効果は、設置された配管の日常的な水の使用量が(1人あたり約200~300L/日)あれば、40年以上持続されます。結果として現在使用している配管寿命を、建物寿命まで延命して使い続けられるということです。他にもNMRパイプテクター®の設置により得られる効果は、配管内の水中に発生する雑菌を抑え、ぬめりや水垢などの汚れを防ぐこともできます。洗浄後2〜3年でぬめりや雑菌の繁殖が再発する従来の配管洗浄では、3〜4年毎に洗浄を繰り返す必要があり、洗浄のたびにコストがかかります。加えて、配管洗浄は赤錆腐食した部分をそぎ落とすため、配管自身が薄くなっていき、劣化を早めてしまう問題もあります。
NMRパイプテクター®-NMRPT-が劇場環境の維持に貢献
NMRパイプテクター®は2000(平成12)年に帝国劇場の配管更生を目的として設置されました。帝劇ビルでは機械室は最深部の地下6階にあります。自前の熱源設備を保有して空調を実施し、熱源設備は、蒸気ボイラーやターボ冷凍機などを中心として、冷却塔は屋上(地上10階相当)に集中配置されている設計です。電動機を搭載した設備や機器類を最深部である地下6階に集中配置したのは、劇場の「静粛性」にこだわった設計の結果であり、設計者の意図を雄弁に物語っています。同じく静粛性を重視した結果の表れと考えられる、鉄筋コンクリートの中に水系の配管を埋設配置している構造からもこだわりを感じます。配管内の赤錆対策の為、NMRパイプテクター®の設置に至った帝劇ビルですが、設置以前はかなりの頻度で経年劣化しやすい水系配管など各部の改修やメンテナンスは実施されてきたといいます。
ただ実際は、埋設された配管部分には手を出すことができませんでした。 そこで、NMRパイプテクター®に白羽の矢が立ったというわけです。NMRパイプテクター®の設置は複数回実施され、2000(平成12)年から2002(平成14)年にかけて、3回に分けて設置されています。今年帝国劇場は築後54年になりますが、 NMRパイプテクター®の防錆効果により、配管内の赤錆の発生は完全に抑制され、NMRパイプテクター®の設置前に発生していた一部での漏水も、設置後の20年間は一度も起こっていない事から、高い防錆効果が証明されました。
NMRパイプテクター®は、国内外問わず様々な施設で防錆効果を立証しています。配管内の赤錆劣化対策の際は、ぜひ一度NMRパイプテクター®をご検討ください。
コラム元
コラム#19「帝国劇場にも導入された優れた機能!NMRパイプテクター®」|日本システム企画株式会社
関連情報
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